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グローバルなアクセスとローカルでの制御:Zscaler Internet Accessによる地理的な壁の克服

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インターネットは、その基本理念に則って、世界中のリソースに無制限にアクセスするための仕組みとして機能しています。そして、企業が自由に運営、協力、拡大できるボーダーレスなデジタル経済環境を実現する存在としてもてはやされてきました。

誕生から長い月日が流れた2025年現在、地域制限、コンプライアンス上の課題、アクセス面での障壁が複雑に絡み合い、インターネットは夢のような存在から組織の悩みの種に変わりつつあります。

これを裏付けるデータがあります。欧州委員会の調査によると、デジタルのコンテンツやサービスにアクセスしようとした際に地域制限の問題を経験したことのある消費者や組織は89%に上ります。また、消費財小売業者の38%、オンライン コンテンツ プロバイダーの約68%は、場所に基づいてアクセスを積極的に制限しているのです。

世界中で事業を展開する組織にとって、デジタル環境におけるこうした制限は単に「不便」で済まされる問題ではなく、ビジネスのボトルネックとなります。

重要なアプリケーションにアクセスできなくなり、従業員は地域に基づくコンテンツ制限に悩まされ、コンプライアンス部門はその場しのぎで規制に対応していくことになります。

結果的に、遅延や効率の低下につながり、セキュリティの死角も生まれます。

インターネットの見えない壁:ビジネスの妨げとなる地域制限の仕組み

政府や金融機関、SaaSプロバイダーは、さまざまな理由からIPベースの制限を施しています。その背景には、コンプライアンス、ライセンス契約、サイバーセキュリティ上の懸念など、多くの問題が存在します。

しかし、こうした制限によって、主に以下の3つの課題が生じます。

1.アクセス拒否:SaaSアプリからの締め出し

世界中の組織の約95%が重要なワークフローにサードパーティーのSaaSアプリケーションを利用しています。しかし、これらのクラウド サービスやサードパーティーのSaaSアプリケーションの多くで、IP許可リストが適用されています。受信トラフィックのソースIPアドレスをフィルタリングのメカニズムとして使用し、事前に定義されたIP許可リストに基づいてアクセスを制限しているのです。

これらのアプリケーションでは、あらかじめ登録された一意のIPアドレスから発信されたトラフィックのみを受け付けます。このIPは通常、組織に関連付けられたものです。ユーザー トラフィックの発信元が未登録のIPアドレスである場合、それが組織内のものか組織外のものかを問わず、アクセスは拒否されます。

場合によっては、アプリケーションに地域制限も適用され、トラフィックが特定の国から発信された場合にのみアクセスが許可されます。一貫した専用のIPがなければアクセスは拒否され、統合もブロックされます。ワークフローが破綻し、従業員はストレスを抱えるだけでなく、業務を遂行できない状態に陥ります。

2.翻訳コンテンツの配信の不具合:ローカライズの問題

クラウド サービスでは、多くの場合、ユーザーのIPアドレスに基づいて言語設定やアクセス権が決定されます。

しかし、トラフィックが国際的なデータ センターを経由すると問題が発生する場合があります。コンテンツが間違った言語で配信されたり、最悪の場合、地域固有のサービスへのアクセスが完全にブロックされる可能性もあります。

結果、アクセス元の場所にそぐわない言語のコンテンツが配信されたり、余計な回避策が必要になったりして、ユーザーにストレスを与えることになります。

この点についての詳細はこちらのブログでご確認ください。

3.規制順守:高リスクのバランス調整

EUのGDPR、インドの個人情報保護法、オーストラリアのプライバシー法など、地域内でのデータ保存に関する法律は世界130か国以上で施行されており、組織は、国内でのデータの保存、処理、記録に関して大きなプレッシャーにさらされています。

ただし、複数の法域にわたるデータ レジデンシーの管理は非常に危険です。一歩間違えれば、コンプライアンス違反による罰則を受けたり、法的影響、顧客からの信頼喪失、運用の中断、セキュリティ態勢の弱体化を引き起こすことになります。

以上の課題を解決しなければ、生産性の低下、コンプライアンス違反、セキュリティの脆弱性の増加などのリスクにつながります。

連鎖的な影響

地域制限は、IT部門だけの課題ではありません。その影響は、セキュリティ、運用、カスタマー エクスペリエンス、収益成長にまで波及し、多くの問題を引き起こします。ただし、多くの組織はそれが表面化するまで気付きません。

サードパーティーの統合を利用している組織では、しばしば予測不可能なIP変更によってSaaSの認証中断やAPI接続の切断が発生したり、手動での再構成を余儀なくされたりするなどして、サービスのダウンタイムや運用効率の低下につながります。

また、財務上の影響も小さくありません。広範な許可リストの維持、VPNやプロキシ サーバーの導入、国外へのデータ転送の管理などに伴う費用は瞬く間に膨れ上がり、コンプライアンスが大きなコスト負担に変わる可能性があります。

連鎖的な影響はさらに続きます。アクセス制限に不満を抱いた従業員は、消費者レベルのVPN、未承認のプロキシ、シャドーITソリューションに頼ります。これらは、組織のセキュリティ制御を回避し、データ流出やマルウェアのリスクが増大するほか、アカウントがロックされるケースも増加します。

特定の地域のSaaSプラットフォームへのアクセスも制限されるため、こうした制限はビジネスの拡大にも直接的な影響を及ぼします。新たな市場への参入プロセスが複雑化するほか、規制当局への報告にも課題が生じます。

カスタマー エクスペリエンスにも悪影響が及びます。コンテンツのローカライズに関する設定ミスによって、言語、価格設定、地域別の製品が誤って表示される可能性があります。また、IPベースのセキュリティ ポリシーと紐付いた認証が失敗し、リモート ワーカーや世界各国の従業員にストレスを与えることも考えられます。

Zscaler Internet Accessによるデータ/コンテンツ主権の実現

Zscalerを利用することで、地域制限による課題を解決できるようになりました。Zscaler Internet Access™ (ZIA)は、柔軟でスケーラブルなオプションを通じて、ローカル コンテンツへの高速かつ安全なアクセス、国内でのデータ ログ管理、ソースIPが制限されたコンテンツへのアクセスを、運用負荷なしで可能にします。

Zscaler Internet Accessによるデータ/コンテンツ主権の実現

 

1.専用IP:安全なアクセスを実現するための安定した基盤

厳格なIP許可リスト要件を持つアプリケーションを利用する組織では、信頼できる一貫したネットワーク アイデンティティーの維持が不可欠です。これは、Zscalerまたはお客様が所有するZscaler Managed Dedicated IPによって大規模に実現できます。

Zscaler Managed Dedicated IP:組織専用に割り当てられたIPアドレス プールです。IPの変更や共有による中断を引き起こすことなく、SaaSアプリケーションへのシームレスなアクセスを可能にします。

Zscaler Managed Dedicated IPソリューション(ホスト型SIPA)

組織所有IPの持ち込み(BYOIP): Zscalerを介して自社のIPアドレスを使用できます。ネットワーク アイデンティティーの完全な制御を維持しながら、セキュリティ ポリシーやコンプライアンス フレームワークとスムーズに統合することが可能です。

お客様管理の専用IPソリューション(SIPA)

専用IPを用いた戦略を導入することで、アクセスの中断を排除し、セキュリティ構成を簡素化しながら、サードパーティー サービスとのシームレスな統合を確保して、ワークフローを中断することなくセキュリティ態勢を維持できます。

2.国に基づくジオローカリゼーション:地域内でのトラフィック処理

Zscalerでは、遠く離れた地域外のデータ センターでトラフィックをルーティングする代わりに、アウトバウンド トラフィックを国固有のIPに割り当てることが可能です。これによって、地域の規制に準拠しながら、ユーザーが適切なコンテンツに正しい言語設定で制約なくアクセスできるようになります。

Zscalerの専用IPとジオローカリゼーションによるトラフィック フロー

国に基づくジオロケーション戦略によって、以下のようなことが可能になります。

  • 地域制限が施されたコンテンツへのシームレスなアクセス:特定地域のSaaSプラットフォーム、政府機関のポータル、規制で制限されたアプリケーションに障害なくアクセスできます。
  • エクスペリエンスの適切なローカライズ:コンテンツ、サービス、セキュリティ設定はユーザーの実際の場所に合わせて調整されるため、ストレスを軽減し、ユーザビリティーを高められます。
  • コンプライアンスの強化:トラフィックが適切な地理的境界内に留まるようにすることで、データ レジデンシーの要件を満たし、コンプライアンス上のリスクを軽減します。

地理的なポリシーに即した形でトラフィックのルーティングを行うことで、不要な制限を排除し、ユーザー エクスペリエンスを向上させながら、コンプライアンスを維持できます。セキュリティやパフォーマンスを犠牲にすることはありません。

Zscalerのジオローカリゼーション機能の詳細は、こちらのブログをご覧ください。

3.国別のログ管理:妥協のないコンプライアンスの実現

地域内でのデータ保存に関する厳格な法律を順守するには、多くの場合、機密性の高いログを指定された地理的境界内で保存する必要があります。国別のログ管理によって、次のことが可能になります。

  • 規制要件の順守:特定の地域内でログを保存および処理することで、GDPR、インドの個人情報保護法、オーストラリアのプライバシー法などのフレームワークを順守します。
  • 機密データに対する制御の維持:承認された法域にセキュリティ ログを保持することで、可視性とガバナンスを確保します。
  • 国外へのデータ転送のリスク軽減:現地の規制に準拠した形でログ管理を行うことで、複雑な法規制に抵触するリスクを最小限に抑えます。

国別のログ管理を採用することで、地域の規制を確実に順守しながら、セキュリティとコンプライアンスの態勢を完全に制御できます。

国内のログ管理の図

重要な理由:安全かつ規制に則った無制限のアクセスがもたらすビジネスの可能性

地域制限を克服するには、リソースへのアクセスにとどまらず、グローバルな運用の強化、コンプライアンスの確保、セキュリティの強化が重要です。適切なアプローチをとることで、以下のようなことが可能になります。

運用効率の向上:重要なSaaSアプリケーションや統合に中断なくアクセスできるようにし、遅延や非効率性を排除します。

シームレスなコンプライアンス:国別のログ管理と規制に応じた調整により、地域内でのデータ保存に関する世界中の法律にスムーズに対応し、法的リスクや監査の失敗を回避します。

セキュリティ態勢の強化:未承認のVPNや回避策の必要性を排除し、データ侵害、サイバー脅威、不正アクセスのリスクを低減します。

ITの運用負荷とコストの削減:頻繁なIPの再構成、許可リストの更新、高いコストのかかる国外へのデータ転送が不要になり、ITリソースを解放できます。

ビジネスのグローバルな拡大:特定地域のSaaSプラットフォーム、規制ポータル、カスタマー エンゲージメント ツールに制約なくアクセスできるようになり、新たな市場を開拓し、ビジネスの成長を推進できます。

Zscaler Internet Accessを利用することで、安全かつシームレスで規制に則ったアクセスが可能になり、本当の意味でボーダーレスなデジタル経済環境の可能性を最大限に活かせます。

まとめ:本当の意味でボーダーレスな未来に向けて

ビジネスに国境がなくなった現在、デジタル インフラもボーダーレスなものでなくてはなりません。Zscalerは、データ/コンテンツ主権に対するよりスマートでシームレスなアプローチの確立を支援します。

詳細については、近日開催予定のZIAイノベーション リリース ウェビナーにご参加ください。データ/コンテンツ主権における最新のイノベーションと、10の新機能について解説します。

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